いよいよ,暮れもせまり,書斎の掃除をはじめた。窓を開け放ち外気を入れ,部屋の四隅より丹念な掃除をする。
窓より庭の木々をうかがうと,寒風に枝もゆれている。寒気も部屋の中に入り込む。
その寒気につられてふと,少年時代,祖母の掃除をする姿を思い出した。毎朝,寒い冬の朝であっても清潔好きの祖母は,ガラス戸をすべて開け放ち,広くもない部屋中を丹念に掃き清める。
祖母に溺愛された私は,冬休みの大半の時間を祖母の部屋で過ごす。掃除の最中は日当たりのよいところにおいてある火鉢に手を炙りながら早く掃除が終わりガラス戸が閉められて,居心地のよい
場所にもどることを願って背中を丸くしている。思い出したのは肩のあたりに手ぬぐいをかけて箒で熱心に掃除をする祖母の後姿であった。
なんとなく,自分も掃除の手を休めてテーブルの上のタバコに手を出して昔の思い出にひたる。午後孫を連れて墓参2箇所。

「紅葉する老年」と云う言葉が好き。老年期、戸惑うことばかり。孫の名前がとっさに出てこない!愛用するお店の名前も失念!探し物で、部屋に入ったら、目的を失念!と、悩ましいこの頃なのであります。一方、巷では、「人生100歳時代」と言うフレーズを耳にします。「そんな事は学校では教わりませんでした」などと、愚痴めいたことを言っても仕方がない・・・・。
後26年でそこに到達してしまう!店で立ち働いていると、「よく頑張ってますねぇ!」と、人様に褒められる事もある。こういう時は、気分爽快、元気が出るのであります。これはそんな老輩の日々を綴るものです。