複雑で多様化する現代。店内は、アンティークな家具、庭には癒し度の高い空間(パワースポット)が広がっているお店です。冬は暖炉に癒されます

カフェブロッサム繫昌記

最近、ヒルズ付近の書店に立ち寄り、本を探していたら、サンフランシスコのフォトグラファーに「写真をとらせてもらえないか?」と
尋ねられた。手に持っているのは、M型ライカではないか!!「ノープロブレム!」と答えて、撮って貰いました。

ヨーコさんに見せたら、「これで、カッチャンの葬式写真が出来たと!」喜んだのでありました。

「紅葉する老年」と云う言葉が好き。老年期、戸惑うことばかり。孫の名前がとっさに出てこない!愛用するお店の名前も失念!探し物で、部屋に入ったら、目的を失念!と、悩ましいこの頃なのであります。一方、巷では、「人生100歳時代」と言うフレーズを耳にします。「そんな事は学校では教わりませんでした」などと、愚痴めいたことを言っても仕方がない・・・・。

後26年でそこに到達してしまう!店で立ち働いていると、「よく頑張ってますねぇ!」と、人様に褒められる事もある。こういう時は、気分爽快、元気が出るのであります。これはそんな老輩の日々を綴るものです。

  • タウンわたらせ第104号6月19日(土)掲載

     車中、香水の匂いがただよう。目を助手席に流すと、薄い布からはみ出しそうな白い 乳が目にとびこむ。下は臍あらわなる腹部が露出(目が潰れてしまいそう)。
    当店 シェフ、ジュリア女の出勤風景。いや、確かに、ナイスバディーなのだが、なにしろ 時節、早春の頃であった。「風邪を引くのでは!」とひたすら心配。(しかしアトラ クティブではある!)「キミサムクハナイノカ?」「ワタシハワカイカラダイジョウ ブヨ」「ボクハキミヲミテイルトヨケイサムクナル!」「トシヲトルトミンナソウデ スネ」。この頃、ひとしお布の表面積が小さくなったような気がする。
    先日は体の後 は網であった。私は思わず「マエトウシロヲイレカエタラワタシハウレシイ!」 「ダーメヨ、ソレハせくはらヨ」と注意をうけた。彼女は美女、ハイ・アイキューの 持ち主、料理が得意で、しかも手早い。店で購読せしファインクッキングをザット見 て、材料を自分で調達し、すばやく試食品を創る。ジュリア女と家人、私をまじえそ の料理を前に、グラスにドライなワインをそそぎ一時の品評談義に入る。
    じつは、彼 女、この頃、遭遇せし隠遁者の細君。同輩の隠者は足利在、日本生。若くして渡米、 南部のハーバードと云われるノースカロライナの名門校ディユーク大学を卒業、以来 三十年世界を舞台に「ヘッドハンティング」「投資」を主たるビジネスとして蓄財、 一人暮しの母親の介護の為、久方ぶりに故郷、日本の土を踏み、日本人の変わりよう に腰を抜かさんばかりに驚いたと言う「今様浦島太郎」のごとき人物。
    会うたびに 「古きよき日本は何処へいってしまったのか相場さん?僕は哀しい!」とワインをす すり、嘆くことしきりなのである。二百年の旧家に住み、時にニューヨーク、カル フォニアに出掛け、平生、古庵にてパソコンを駆使、インタナショナルなビジネスに はげみ、金を集める。
    葉巻、古庵、世間を斜に見る視点、極東のこの地を世界の田舎 と見立て、隠者生活に、どっぷりとつかっているのである。コイーバ、ワイン、極東 の端所の草庵と云うキーワードゆえに私と波長が合う。細君ジュリア女は異国の地に て、このカフェレストランを気に入り加勢する事になる。